横浜駅にて

 よく外国人に道聞かれます。

 無駄にデカいので、話しかけるのにちょうどよい高さなのかもしれません。

 今日も帰りの横浜駅で声かけられました。

 順番の最後尾に並んでいたのですが、視野の端っこの方で行ったり来たりしているのは、なんとなく気付いていました。

 キャスターの音が背後で止まり、後ろからぬっとスマホが出てきました。路線図の「TOUKAIDOU-LINE」の文字と毛深い手が目に入ります。

 英語の勉強に途方もない時間を費やしてきた私は、「Where are you going?」と、なんとか英語が出てきます。

 しかし応答がありません。

 日本語なまりの英語なので、発音に相当の難を抱えているのは解かっています。なかなか返ってこない返事にどぎまぎして、「where is your destination?」と、聞き返したその時です。

 目に入ったのは、ハの字に眉をしかめ、スマホを指さし「OYAMAっ!!」を連呼する、太い眉毛に口髭をたたえた、笑顔を絶やさない、背の低いデニス植野風の若者でした。

 

 ・・・中東かっっ!!!

 

   果たして彼が、アラビア語だけを引っ下げて日本に乗り込んで来た強者なのか、英語の苦手なアジア人2人がたまたまそこで出会ってしまっただけなのかは今となっては判りません。「ギャクギャクーギャクだよー」と2本指をくるくる回したり、「まずはトウキョウ、ファースト」 などと小池百合子ばりのフレーズでまずは東京に行くことを勧めたり・・・

 欧米系・英語圏の設定ゆえ、西アジアという想定外のスペックに対応できず、私の軟弱な英語は跡形もなく崩れ去っていました。

 

 滝川クリステルも鼻で笑うような、貧弱なおもてなしになってしまいましたが、向かいの上り線ホームへ向かってくれたので、まずは東京に出れば・・・なんとかなるかな・・・無事着いてほしい!

 っていうか、YOUは何しに小山へ?